淡雪の子守唄



 淡雪の子守唄


 ─古の 白き山に 光差し─
 ─共にゆかん 天を駆ける狼─
 ─白き息吹が 眠りに誘う─
 ─我が友よ 遠き日に誓おう─
 ─我が英雄よ 約束を忘れるな─
 ─いつか来る 白き災厄を─
 ─忘れるな 忘れるな 紅き目が─
 ─我らを救う 証となる─
 
 
 母を亡くした子狼は居場所を無くした男を拾った。赤い服装は冬の山にはよく目立ち、彼が一人で生きてはいけないことは誰にでもわかる。

 子狼は男を笑う。
 爪も、牙もない、速さもなければ山に慣れてもいない、弱き者。

 子狼は男を追い出さなかった。

 男は子狼から逃げなかった。


 これはそんな一人と一匹の物語。



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第一章 邂逅

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