頽廃の王

頽廃の王





 東の海に浮かぶ島、ルクスエヴァンス──。嘗て宗教弾圧から逃れこの島に辿り着いたテラー教徒は、島に元々住まう民族との争いに勝ち、ルクスエヴァンスを宗教国として建国する。然しながら建国を巡っての意見の食い違いからテラー教はふたつの宗派に別れ、長きに渡り大地に血を流していた。

 その終焉なき聖戦≠ェひとりの司教の謀反により奇跡的な休戦を迎えてより十年──。
 港町イシエルに程近い採石場に、ひとりの年若い奴隷がいた。彼の名はリシュ。彼は嘗てこの島に住んでいた民族、リマ族の血を引いており、物心ついた頃には既に奴隷として生きていた。

 雨季の訪れ、大粒の雨が採石場を襲う。窪んだ採石場には土砂が流れ込み、そして、永劫変わらぬ命を信じていたリシュの運命もまた、濁流のように押し流されてゆく──。


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BL/奴隷/貴族/背教者/三角関係/宗教戦争/創作歴史ファンタジー


目次

序章

第一章 運命の速雨

第二章 船底のアフロディーテ

第三章 幸福の苦悶

第四章 誘惑

第五章 窮愁のワルツ

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