ビターボーイ(旧:あの子に紅茶をこぼして)
ビターボーイ

(しおり〆)

 それはもはや、愛とは呼べないのかもしれない

彼女に故意なく涙を落とさせて
それは美味しい朝食と、愉快で冷酷な昼食と、穏やかで優しい夕食をめぐる事である。
不敵な猫に微かな違和感を抱いて
それはチョコレートアレルギーと、それにまつわる彼と彼女の共通点が発覚したゆえだ。
寂しがり屋に興味の意を示して
それは、彼が嘘をついていたのではなく、ただ黙ってなにも言わなかっただけの話だ。
甘党に大量のパンをけしかけて
それは彼女の卑劣さを露呈し、それゆえの哀しみをどこまでも刻み込む残酷な手口だ。
クールなキミに褒められて
それは彼のいない間に起こった、私とあの人の小さくてささやかな思い出だとしたら。
泣き虫に迂闊な情報を与えて
それは誰も悪くないことで、ひとつあるとするならばこんなことになった運命のみだ。
スーツの男に呼び止められて
それはひとつひとつの言葉を大切に汲み取っていれば、分かったことかもしれない。
スケープゴートに儚い夢を見せて
誰よりもグレーに向いてる
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