〈裏・一花〉―――――――――…………










一花「胡桃……もう終わったよ。」





私はあの闇のクラス崩壊後


静かに彼女が眠る墓地へと訪れていた。



冬から春へと季節は変わり始めてるけど


いまだに寒さは強く続いていて


雪景色が私を辛くさせる。





一花「………。」





私は積もった雪を手で払いながら


悲しく見つめる先に


胡桃はどんな事を想いながら


変わった2ーAを見つめていたのか……


それを考えていた。





一花「きっとそれすら私にはわからないよね。」





しゃがみながら


ゆっくりと手を合わす私。



彼女には『裏』なんて存在しなかったのかもしれない。


今ならそう思えるよ。


あの篠山さんみたいに真っ直ぐに生きていこうとしてたのかな。


私もきっとそれはわかっていたはずなのに。



それでも結局……


胡桃が自殺した日から,私は自分の殻に閉じこもったままの傍観者になってしまった。





一花「最低だよね……。卑怯だよね……。」





ポタッ……



ポタッ……



ポタッ……





罪悪感という名の涙が


私の閉じた目から落ちていく。


それは止まらないほど流れる悲しい傷痕。





一花「本当は私が助けるべきだったのに……。」





今更後悔したって遅い。


そんな事はわかってるけど……



でも


もう一度


もう一度


胡桃に会いたい。



この会いたいと想う気持ちがどうしても消えない。





SEVEN「竹内……。」





そんな中


私の後ろから声が聞こえてきたんだ。


涙を拭いて立ち上がりながら


ゆっくりと振り返ると



そこには


複雑な表情をした細貝くんと


篠山さんの姿があった。





一花「………。」





なんでここに来ているのか


私にはわからなかった。


でも……





SEVEN「竹内……俺たちもいいかな?」



咲 「………。」





私は何も答えずに


思わず涙がこぼれ落ちながら


くしゃくしゃになった顔を隠す様に頷いた。





咲 「ここに……亡くなった松山胡桃さんがいるんだね。」





篠山さんが


胡桃と同じ目線にいる事が伝わり


ただ悲しくて


悲しくて


溢れる涙を拭いながら


泣きつづける私。





咲 「竹内さん,勇くんから全部聞いたよ。私があのクラスに来る前に,必死に闘って変えようとした女の子がいたって事を。」





もう私には


涙で周りの景色が見えなかった。


胡桃の存在が


あのクラスを変えた篠山さんに伝わっている事が複雑な想いを強くしていく。





一花「胡桃……胡桃………。」





私が両手を顔に当てて泣きつづける中


篠山さんがゆっくりと私に近づいてきて


優しく抱きしめてくれた。





その温もりは



胡桃と同じだったんだ。





あの時と





同じだった。

















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