浅葱色
[沖田と恋仲](1/15)
池田屋事件の3日後
重症だった奥沢が静かに息を引き取った。

そして、捕らえられたままだった古高は
六角獄舎へ連行される事となる。


縄で縛られた古高に
最後に会えたのは連行される直前
やつれた彼を救う事は出来なかった。

「逃げてって言ったのに

「逃げれなかったんだ。」

嘘をつくのは、誰の為か。

寂しそうな彼女に差し伸べれる手は
後ろに縛られ動かない。

「古高「ありがとうな。」

そう、言葉を遮った古高
それが、彼との最後の会話だった。

「ちぃ、もう刻限だ。」

引き連れられていく古高の背を
見送る事しか出来ない千夜


連れ行って欲しくないのに
距離はどんどん離れていって
ついには、見えなくなってしまった。


悔しい。悲しい。辛い。

自分がやりたい事が
空回りする

助けたかった隊士も亡くなり

助けたかった古高は六角獄舎

久坂との約束すら守れない不甲斐無さ


ぎゅっと手を握りしめ
夏の生暖かい風を全身に浴びる。


「まだ、やるべき事は沢山ある。」


そう、自分を奮い立たせ
自室に戻り
千夜は、
久坂から譲り受けた異国の書物を解読し始める。


沖田の労咳を
治す為に………




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