浅葱色
[千夜の行方](1/22)
その夜、千夜を見つける事は
出来なかった。


ダンッ

……クソッ。」

文机を殴りつける土方

「せめて、誰が連れ去ったか分かれば
探しようがあるんですけどね。」


……


「土方さん、僕、
お茶でも淹れてきますよ。」

……。ああ。
頼む。総司。」

お茶なんか飲む気では無い。
だけど、

どんなに、苛立っても
ちぃちゃんは見つからない。


「土方さんは、濃いめのお茶、だったな。」


そういえば、
最近、土方さんのお茶は
ちぃちゃんが淹れてるから

僕が淹れるのは久しぶりだな。

そう思いながら
勝手場へと向かった。

中庭を通ろうとしたら
人影があるのに気づく

膝を抱え顔を埋める

……平助?」

そんなに大きな声は出してない無いのに
藤堂は、驚いた様に沖田を見た。

「どうした?」

……い、いや、なんでもない。」

勢いよく立ち上がる藤堂

「そ、それより
総司はどうしたんだよ?」

「?僕?
僕は、土方さんに
お茶でも淹れようと思って


「あー。そうだよな。
ちぃ、いなくなっちまったから

土方さん、

いらだってるよな

「平助も、一緒に飲む?」


……俺は、いいや。」


「そう?」

「ああ。

じゃ、俺部屋戻るわ。」


「うん。

また、明日。」

……ああ。また、明日な。」


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