浅葱色
[佐々木とあぐり](1/35)
山南さんの容態は安定した。


医者は、刀を持てないと言ったが
ちゃんと刀を持って
振ることが出来ている。

刀を持つ山南さんの姿を
木の上から眺めながらも、

ホッとした。



そんなある日、


「君菊!あんた!」


町を歩いていたら凄い勢いで
梅姐に捕まった。


な、なに?」

肩に手を置かれ
逃げ出したいのに逃げられないし

梅姐の顔が怖い……

「あぐり。いう女知っとる?」


あぐり

首を傾げる千夜

?知らないけど……


「なんで、知らんの?」


そんな事を言われましても

「あぐりって言う子が何?」

「芹沢はんがな、
妾にする言うて、

可愛らしい子やとか、

ウチにいってくるんよ。」


へー。」


「へー。や、ないやろ?
君菊、あんた
他人事や、思うて

酷いわ。グスン」


酷いのは梅姐だ。

道の真ん中で
嘘泣きを始めるから

行き交う人がこちらを向く……


はぁ。
わかった。調べたらいいんでしょう?」


パッと笑顔になる梅姐


「それでこそ、君菊や。」


……自分で調べたらいいのに……


「なんか、言うた?」


……

いえ、なんでもございません。」




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