悠久〜version2

★[青い土地](1/18)
話を聞いていたら外は真っ暗になっていた。


「あなたにこんな話をしてごめんなさいね。知ってほしかったの、あの国の人であるなら……ね」


すまなそうに言うクリスティナに、アンドレは掛ける言葉が見つからなかった。



「まぁあれだ。パナイはそこだけ聞けば最悪な土地だけど、双子以外は結構幸せに暮らせる土地だ。内戦もないし、国は豊かだ」



いつの間にか起きていたライラはそう言った。



そして、それはクリスティナもわかっていることだったようで、ライラの言葉に頷いた。








その日はそのままクリスティナの家に泊まる事となった。








翌朝――――――




クリスティナも同行すると言って来た道を戻ることとなった。



二人の目的である偽の通行書を作る為に、その職人がいる村を目指した。




その村は二人を森に誘導した村だった。







「俺らを森にやって、死んだらどうするはずだったんだ?」



「荷をいただいて村に届ける。それが私の役目」



「死ぬ予定だった人が生きて村に行くわけか……あんた大丈夫なのか?」



「平気よ……私がなんとかする」





二人の会話をアンドレは黙って聞いていた。





アンドレは戦争の終結した国で生まれた。



平和の国で何不自由なく暮らしてきた。



命のやりとりなどしたことがないから、昨日からの会話で言いようのない不安に襲われていた。



このままついて行っても平気なのか






そう思いながらも言えないでいた。

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