正真正銘チクり女。
NINE(1/23)
怖い…
あたしは嫌どころか怖いと感じてきた。
みんなの話してることがあたしのことのような気がする。
みんながこっちを見て笑ってるような気がする。
やっぱりここにいるのは駄目だ。
そう感じてあたしは荷物を持って昇降口に向かった。
ここは今のあたしが来るところじゃない。
でも今日は家にお母さんがいるから家には帰れない。
ずっと不登校だったこともなんとか誤魔化してきたし。
どこかフラフラしよう。
そう思い学校を出ると空が暗かった。
これは一雨くるかも。
傘持ってないし……
雨が降る前にどこか中に入ろう。
今の時間にファミレスなんて行ったら変に思われるよね…
なんて言ってたら行くところがないじゃん。
それより、なんでこうなったんだっけ…
この前までは楽しかった筈なのに。
北条さんが転校なんてしてくるからだ。
もし北条さんがこの学校にいなかったら今でもあたしは楽しんでいたかもしれない。
雫の辛い思い出を掘り返さなくて済んでいたかもしれない。
でも元はと言えばあたしが雫を助けてたらこうはならなかったかもしれない。
何もかもが悪かったように思えてきた。
そんなことばかり考えながら歩いていたら気が付くと知らない場所に来ていた。
あたし…今どっから来たんだ?
考えすぎて知らない場所に来ちゃった。
…戻ろう。
来た道を戻ったつもりがもっと迷ってしまった。
「やばい…本当にここどこ…?」
野良猫があたしを馬鹿にしたような顔で見て通り過ぎていった。
何、もう…
携帯で調べれば出てくるかな。
まぁ出てこなくても親に電話すれば…
そう思い携帯の電源を入れたと同時にピーと音がして画面には“充電してください“の文字。
「え、嘘でしょ?
ちょっと、ついてよ。」
何度もボタンを押してみたけど反応はナシ。
真っ暗な画面にあたしの顔が写っているだけだった。
誰かに聞こう。
周りを見渡すと人気が少なかった。
ここらへん大きな交差点とか道路とかじゃないからな…
とりあえず大きい場所に出れば…
ポツ………
え…?
あたしの手に小さい雨粒がかかり、空を見上げると学校を出たときよりも黒くなった雲があった。
そして一瞬にしてザァァァ…と大雨が降ってきた。
「最悪………」
本当ついてない。
あたし神様から嫌がらせでも受けてるのかな。
強くなる雨から少しでも逃れようと雨宿りできるところを探していると、大きな公園を見つけた。
そこには雨宿りできそうな遊具があり急いでそこに駆け込んだ。
ふぅ…
とりあえず雨が止むまでここにいよう。
雨だからか人は少なく話し声もほとんど聞こえてこなかった。
足音も聞こえなければ車の走る音も聞こえない。
まるで世界にあたししかいないみたいだ。
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