正真正銘チクり女。 TWO(1/24)





舞川くんの浮気。


あたしにとってそれはすごい好都合。
今まであたしを傷付けた罰を与えないといけないから。
ま、あんまり傷付いてないけど。
しかも浮気相手は学年1可愛い青山さんだよ?
最高に面白いじゃん。




「え………?今日一緒に帰れないの…?」



あたしのクラスに来た舞川くんが斉藤さんに話しかけていた。


「うんごめん。急用ができたんだ。
じいさんが病院で入院してて、あまりよくない状況なんだ。 
だから見に行かないといけない。
ごめんね。」


「そっか……それは仕方ないよね…。
じゃあ明日は一緒に帰ろうねぇ。」


何、舞川くんの前ではほわほわした女の子気取ってんのあの女。
見ててイタいって前言わなかったっけ?
ってか、舞川くん本当に病院なの?
付き合いたてほやほやの可愛い舞川くんのタイプの青山さんと帰るんじゃないの?

いやーこれはつけてくしかないっしょ。  



早く放課後になってよ。



キーンコーンカーンコーン……



次の授業は……英語2か。


じゃああたし移動だわ。



………って…教科書ないんだっけ。
斉藤さん達に取られたまんまだわ。
いじめるのはいいけど私物取られんのは結構タチ悪い。

なんもできないじゃん。だって。

と思ったけど、さっき美術のことがあったからか、ちゃんと机に戻してあった。
よかった。
小心者の奴らにはずっと盗むなんてことできないもんね。


 あたしは英語の道具をもって北校舎に向かった。




ドンッ



バサバサバサバサバサ!!


嘘でしょ。
教科書などはもちろん、筆箱を閉めていなかったのでシャーペン、マーカーなどが全部ばらまかれた。
ちゃんと前見て歩きなさいよ。
迷惑。


誰だかちゃんと頭に入れておこうと思い顔を上げた。



……………げ……



「宮崎京介……」


「ごめんね?ぶつかっちゃった。」


「いいからさっさと手伝いなさいよ。」


「嫌。」



いつも通りニコニコしながらあたしを見下す。
その顔。
大嫌いなの。

でもこいつには弱みを握られてる。
相手が誰だろうと、やることはやる奴。
あたしの性格のことチクられたらもうおしまい。
今までの努力は全部パー。

だから嫌いなの。



「あんたからぶつかってきたんでしょ。
手伝いなさいよ。」


「ねぇ、じゃあ俺と付き合ってよ。」



………は?


こいつ馬鹿なの?
何、じゃあって。


「じゃあいいよ。バイバイ。
ってか嫌いなんじゃないのあたしの事。」



「うん。嫌いだよ?」



駄目だ。
話が全然見えてこない。

立てる?と嫌みのように差し出された手を振り払い、あたしはその場から走って逃げた。




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