☆[10 お母さんと☆父と☆夏休みと](1/25)
「ちょ、ちょっと、隆史さん、私まだ心の準備が……!」
「大丈夫だよ。かのんは可愛いから母さんも喜んでくれる」
静かな足音がだんだん部屋に近付いてきて、緊張は極度まで増していた。
コンコンと扉をノックされて、私は身を固くした。
「隆史、入るわよ」
入ってきた女性は、とても高校生の男の子がいるとは思えないくらい、若くて綺麗な人だった。
どことなく雰囲気が隆史さんとそっくり。
私は深々と頭を下げた。
「は、初めまして。隆史さんとお付き合いさせて頂いている石動花音と申します」
「花音さんね。初めまして。隆史の母です。頭を上げて」
「は、はい……」
言われて私は頭を上げる。本当に綺麗なお母さんだ。
私は母の思い出がおぼろげだから、父を思い出すけど……あれと比べちゃいけないよね、うん。
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