☆[8 祭りの終わりと☆誕生日☆](1/25)
「ずっと隠してたんだよね? 髪のこと」
鈴乃が溜め息をつく。
隆史さんとのことがばれたわけじゃなくて良かったけど、
でも、カツラのことだってばれたら非常に困る事案だ。
「う……うん……」
「どうして? なんでカツラなんてかぶってるの?」
「そ……それは……」
最初は勘違いからだった。
鈴乃から、「髪を染めないと困ることになる」と聞いて、
真っ先に私が思いついたのが、「いじめられる」ということだったから。
だから、黒髪を染めたかった。
でも、父に反対されて、代わりにカツラをかぶった。
それが、黒髪のままだと風紀委員に勧誘されるという話だったとわかっても、
私はカツラをかぶり続けた。
なぜなら、隆史さんがデートしていた相手が黒髪の女の子だって噂が立ったから。
その女の子が私だということまではばれてはいなかったけど、
黒髪の女の子が少ないこの学校では、黒髪でいることは危険だった。
全ては隆史さんにつながるわけだけど……そんな事情は今、話せない。
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