快楽主義は流され上手
<参>[淫臭-インシュウ-](1/14)
臭いじゃないか…
「ご存知だろうか。」
ホワイトボードの前に立っているスーツの男が話し始めた。
「フェロモン。 それは動物又は微生物が体内で生成し、体外に分泌後同種の個体に一定の行動や発育の変化を促す生理活性物質。」
ホワイトボードに書かれた「生理活性物質」を丸で囲い、矢印で「臭い」に繋げる。
「極めて低濃度て効果を果たす、…が臭いによる情報伝達とは異なる。」
矢印の上から大きく×を書いた。
「…聞いていますか?」
急に話し掛けられて変な声がでたが咳払いをして誤魔化す。
「聞いてます。」
スーツの男は細くて四角い眼鏡をクイッとかけ直し、オールバックな髪をスッとすいた。
「そこで、私達プロジェクトチームが作り出したのはフェロモニールと言うフェロモンに匂いを付ける薬です。」
透明なカプセルに赤い液体が入っている。
一つ瓶から取り出して、よく見せた後机に配られた。
隣に座っていた男性が手に取り弄くり回している。
一室には私とこの2人しかいない。
私はスッと挙手し、スーツの男に薬を見せながら言った。
「まさか飲めとは言いませんよね?」
隣に座っていた男は気にせず薬を光に透かせて見たりしている。
「勿論、服用して頂きます。」
隣の男の手からコロンと薬が落ちた。拾う事なくそのまま固まっている。
「何の為に今まで幾つもの試験を潜り抜けて来たんですか。」
スーツの男は落とした薬を拾い上げ、ハンカチて拭いてから隣の男の机に置いた。
「1週間\500,000で働くと言う話、ですよね?」
隣の男が初めて口を開いた。
「あなた方の1週間を\500,000で買わせていただくと言う話です。」
スーツの男がニッコリ微笑んで答えた。
私と隣の男はその言葉に、言葉通り頭を抱えた。
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