蒼き瞳〜総集編〜
[★Section.17 狩矢一族、復讐の罠](1/116)
花の匂いが風に流れ、明かりに煌めく草
死神、そして鬼神族との大きな戦いから1週間、私達は変わらず賑やかな毎日を過ごしていた
いつものように私達の戦いは妖魔達に流れ、数日は妖魔の動きが鈍くなったがすぐにまた暴れだし毎日冬夜と柚綺と交代しながら妖魔達を抑制していた
そして知り得なかった鬼神族の情報を書物に記し残した
今回の戦いで知った。鬼神族という妖魔の驚異を
きっとここにある書物にもまだまだ私達が知らない恐ろしい妖魔が沢山居るのかもしれない…
冬夜「母さん、怖い顔してるけど何かあったの?」
冬夜と杏、そして沙柚を抱っこして私の所を訪ねに来た
杏「華夜さん、紺詰めすぎないで下さいね?」
華夜「大丈夫よ。それより沙柚も来てくれたのね。だいぶ大きくなったのね。抱っこしてもいい?」
杏「勿論です」
杏から沙柚を受け取ると前よりもずっしりした重さを感じた
華夜「重くなったわね。こうして見ると冬夜の赤ちゃんだった頃を思い出すわ。冬夜に似てきたわね」
杏「冬夜はどんな赤ちゃんだったんですか?」
華夜「よく泣いてたわ。だけど皆に人気者でね。沢山抱っこしてもらってたわね。そのせいか抱っこが好きでしないとよく怒って泣いたわね」
そう思うと懐かしいわね…
杏「へぇ!そうだったんだ」
杏が冬夜の顔を覗くように見ると、冬夜は手で顔を覆っていた
冬夜「やめてよ母さんそんな話…恥ずかしいよ」
珍しく顔を赤くして照れている冬夜を見て杏と顔を合わせて笑った
沙柚も楽しかったのか私の腕の中できゃっきゃっと楽しそうに笑っていた
冬夜「そういえば父さんと深木達が見当たらないけど修行?」
華夜「ええ、修行部屋で剣術を叩き込んでる最中よ」
冬夜「ふーん、俺も行ってこようかな」
華夜「別に良いけど杏と沙柚はいいの?」
冬夜「杏、ダメ?」
杏「大丈夫だよ。終わるまで華夜さんとお喋りしてるからいってらっしゃい」
冬夜「ありがとう杏」
そして冬夜は1人修行部屋に向かった
華夜「全く本当冬夜は修行が好きなんだから…」
杏「瞳が輝いてましたもんね。本当に格好いいです冬夜は」
華夜「ふふっ、杏顔に冬夜の事好きって書いてあるわよ」
私が少しからかうと杏は少し慌てて顔を赤くした
華夜「ふふっ、順調そうね」
エマ「姫様、杏様、お茶が入りましたよ」
杏「エマさん!ありがとうございます」
華夜「エマも一緒に飲みましょ」
そして3人でのんびりとお茶会が始まった
エマ「姫様よく笑うようになりましたね。笑顔が消えて復讐の為に生きていた姫様を見るのがあの頃は辛かったですが、今では懐かしいくらいですね」
杏「あの頃って華夜さんの一族が殺されてしまったという?」
華夜「エマったらそんな昔話…」
エマ「本当に哀れで…しかもそんな姫様の心を射止めたのが復讐の相手の柚綺様だった時は本当にお痛わしかったというのに…」
華夜「今では幸せいっぱいよ。本当運命って分からないものね」
杏「私も一生リノン様に従うしかないのだと諦めていました。あの時冬夜に出逢えたのは本当に運命だと感じています」
コンコン
昔話に花が咲いていると部屋のドアを叩く音がしてドアが開いた
そこには可愛らしいお客さんが2人来ていた
イブキ・ツユキ「華夜様ぁ!」
幼く綺麗な声が揃い笑顔で入って来たのはイブキとツユキだった
華夜「あら、可愛いお客さんね」
エマ「ツユキ、イブキ。2人でここに来るなんてどうしたの?」
イブキ「お母さんに氷花の作り方教えてもらったから作ったの!」
ツユキ「上手に出来たから華夜様にあげよってイブキと話してたの!」
イブキ「いつも華夜様、私達の事守ってくれるからそのお礼!」
ツユキ・イブキ「ねー!」
エマ「……姫様何を悶えてるのですか?」
華夜「ごめんなさい…可愛すぎて…」
ツユキ・イブキ「はい、華夜様どーぞ!」
ツユキとイブキが作った少し歪な氷の花
だけど光に反射して何色にも輝くとても綺麗なものだった
何より2人の気持ちが私には嬉しい
華夜「ありがとうツユキ、イブキ。大切に飾るわね」
杏「へぇーキラキラして凄い綺麗!」
エマ「初めて作ったにしては上手に出来たじゃない?」
華夜「アサギリは氷花が上手だものね。2人にも才能があるわね」
ツユキ「えへへ♪溶けないようにイブキのお母さんに加工してもらったから溶けないよ!」
イブキ「今度は杏様とエマ様にも作ってくるからね!」
杏「本当!楽しみにしてるね!」
エマ「私も楽しみだわ」
そして再び私達は笑顔に包まれた
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