-柚綺side-
はぁ…気が重いままここに戻ってきちまった
月とは違う薄暗く湿った空気の場所
しかもあいつの所に向かってると思うと腹が立つぜ
俺が歩けば周りの悪魔共は俺を恐れ道を作り頭を下げていく
この光景にもヘドが出る
マンダ「ルイス様、今までどこに?」
マンダ、俺の次に魔力の強い悪魔だ
柚綺「てめぇに関係ねぇだろ。それから俺の後ろに立つな。俺は今、機嫌が悪いんだ。殺されてぇのか」
マンダ「そう睨まないで貰いたい。魔力が漏れている。力の弱い奴等が気絶してしまった」
しまった…つい感情が高ぶった…
まぁこいつ等がどうなろうがどうでもいい
柚綺「うるせぇ、弱い奴が悪いんだろ」
マンダ「相変わらず横暴だな…ヨモギ様が待っていますよ」
柚綺「言われなくても分かってる。下がれマンダ」
―――――――――…
この血の匂い…また食事中か…
嫌な時に来ちまった
柚綺「…ただいま戻りましたお祖父様」
女悪魔の死体が転がっている
多すぎるだろ…全く吐き気がするぜ
また少し魔力を回復させたか…
相手の血をむさぼり魔力を得るとはな…
よくそんな事思い付いたもんだぜ
まぁでも…封印術は桁違いに強かったみたいだな
本来の魔力の半分くらいしか回復しない
それ以上は無理らしいな
ヨモギ「ルイス、お前今までどこにおったのだ。王が国を留守にするとは何を考えておる」
何都合のいいこと言ってやがる
俺が居なくてもお前が居れば国は動くんだからよ
いくら俺が今のルイスでも、悪魔の頂点に立つのはお前だろじじぃ
魔力が封印されてもその圧倒的な命令には誰もさからえねぇ
俺はこいつの都合のいい駒でしかねぇ
でもあのじじぃを殺せないのは俺が空っぽの存在だからだ
守るものも失うものもなにもねぇ
だったらこの方が楽なんだ
柚綺「申し訳ありません。深傷を負ったので朝まで姿を隠していました」
ヨモギ「ルイスの名を継ぐものが情けない。それでも王か?」
うるせぇ…お前だってろくな魔力ねぇ癖にしゃしゃり出てくんな
柚綺「…先程魔力が戻りました」
ヨモギ「ほぉ…やっと戻りおったか。これでようやく作戦に移れるわけだ」
またよからぬ事を考えてんのか…
俺には興味ねぇな
柚綺「じゃぁ俺はこれで」
俺はさっさと部屋を後にした