僕なりのフクシュウ
[それは…それとして。](1/2)
ーーー
“僕”が乗り移った“xx”視点。

急にラップ音が聞こえてきた。
奇妙な音が聞こえ、私は突然息苦しくなった。
誰かに首をキツく締められている感覚がして、気が付いたら
泡を吹いている私を私が見ていた。

…夢?
私は、私の身体に戻ろうとする。

けれど、何かに引っ張られて
身体に戻れない。
辿り着けない。

後ろを振り返り、私は悲鳴をあげそうになった。

「久し振りだね」
愛しい筈の人の声が聞こえてくる。

けれど、声の主は
私が知っている人では無かった。

いや、彼は彼なんだろうと思う。

「…ああ、肉体が無いから、昔とは違うかもしれないね。」

そういう問題では無い。

「どうしたの?俺に会えて嬉しくないの?」
嬉しいか嬉しくないか…

…どっちなんだろう…?

彼が居なくなった時は
ずっと辛くて悲しくて、戻ってきて欲しいって願ってた。

でも、今こうして会って…

何故だろう…
会わなきゃ良かった、怖い…
そう感じてしまう。

「私をもとに戻して!?私まだ生きたい…」
「その願いは、俺には叶えられない。」
「何で?」
だって、私を捕まえているのは、彼なのに。

「それを決めるのは、俺ではなく、彼だ。」

そう言われ、指差す方を見ると
草村が、何か言っている。
…でも、草村の魂的な何かが、体から抜けているから、草村では無いのだと思う。

「誰」

私には、草村の中に居るのが何者なのか、分からない。

誰。




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