僕なりのフクシュウ
[悪霊になりたくない](1/5)
…その日の夜。
僕はまだ、ぼーっとしていた。
夜になると
静かになり、何だか怖い。

…いや
生きてる人からすれば
僕も“怖い奴”なんだろうけど。

僕には僕以外の
幽霊が見えない。
きっと、此処にも多くの
幽霊とか居るはずなのに
何も見えない。

声が聞こえるのは
あの人だけだし…

…他にも誰か居るはずなのに
何で

「うぇーい」

……僕、相当真面目に考えていたのに
なんでこんなに軽く出てくるんだろう…

「なんだ?暗いな?」
夜ですから
「そうじゃねぇよ!」

貴方は何で此処に居るんですか?

「…」
急に静かになった。
「……忘れない為に」

声色(と言っても声帯が無いから、思念なんだけど)が低くなった気がする。
「忘れたら………になるから」

え?
「何でもねぇよ!何でだろうなぁ…好きな子の成長を見るために?」
声色がもとに戻る。
何だったんだろう?
何かになるのか?

好きな子……そういえば貴方はどのくらい此処に…?

「…………」
あの…
「どのくらいなんだろうな…」
ポツリと呟かれた言葉は
消えそうなくらい
弱々しい物だった。

「お前も、忘れるなよ」
そう聞こえて
それ以来、その人の思念が伝わることは無かった。

姿は見えないから
どこに居るのか分からない。
僕と同じ地縛霊じゃなかったら
移動は出来るだろうし…
気分を害したのかもしれない
そう思うと居た堪れない気持ちになった。


……何にならない為に
此処に居るんだろう?
あの人は一体何者なんだろう…?
疑問は消えない
寧ろ増えるだけだった。




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