それはステキな恋の魔法
[曖昧なこの気持ち](1/12)
突然、王史が久々に自宅に帰ると言い出した。

それは決して自主的なものではなく王史が唯一逆らわない人物、十和子会長からの"会長命令"があったため。


ーー十和子さんの気持ちも分からなくははないけどさぁ良い方向に向かうとも思えないよね… …


ぼやっとそんなことを考えながら、お姫様のように笑うユーリの笑顔を思い出す。

一見、水代グループとの政略結婚のように見せかけて王史とユーリをくっつけてしまえば、この先の王史のビジネスシーンでも不利に働くことはないだろうし、何よりこの先の未来、実質王史が独りになることはないだろうなどと考えているに違いないのだ。


ーーいざとなったら、俺が王史の面倒は見るって言ってんのに


十和子にそう告げた時、十和子は笑っていた。

『リオンは王史の所有物じゃないのよ?あなたは、あなたの力で幸せを掴みなさい。じゃないと、また王史が落ち込んじゃうでしょ?』

そう言った十和子の意図は頭では理解できても、正直なところ、自分が王史より大切な存在に出会うことなどあり得ない。と、笑顔で聞き流していた。

それにしても、昔から十和子の行動力には目を見張る。

突然、王史とユーリを同棲させようなどと


ーーこのこと、姫ちゃんに知れたら


ただでさえ、最近は王史のやらかしによって気まずい関係が続いているというのに

さらに敬遠されてしまうこと必至だろう。



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