それはステキな恋の魔法
[恋する気持ち](1/13)
カタカタカタカタ… …
「・・・謝りに行ったんじゃねぇの?似合わねぇ
花束持って」
「・・・・」
社長室では、ため息混じりのリオンのそんな声と
ひたすらに王史がパソコンのキーボードを叩く音が響いている。
「そんで夜は仲良くお話しして、朝は姫ちゃんの手料理食べて。お前が復活してくれてんだろうと…期待してたんだけど?」
「・・・あいつが悪い」
ディスプレイから視線を離すことなく、ムッと拗ねた様に王史が言う。
「こりもせずに男と連絡とりやがって…あのバカ」
「・・・・」
人はそれを嫉妬と呼ぶ。とは口には出さず、リオンは書類に目を通しながら話を続けた。
「…ま、姫ちゃんだって26歳なんだしさ、彼氏の
1人いてもいいだろ。あれだけ可愛けりゃ周りはほっとかないし」
「はぁ?だからって、田辺ん時みたいに震えてりゃ意味ないだろ! 」
「その点、今回はメールで親睦を深めてる訳だろ? いい作戦なんじゃん?直接話すのが苦手ってだけで別に姫ちゃんは男が嫌いなわけではないんだから」
「… …っ」
「…ま、こうしてお前がここでいじけてる今も、姫ちゃんは美王の奴とメッセージのやり取りして距離を詰めてるってことだろ?…お前の出る幕はな…」
ガタンっ!
と、おもむろに椅子から立ち上がり、王史がリオンを一瞥した。
「リオン!…デザイン部に用がある。行ってくる」
「はいは〜い♪いってら〜♪」
全身から放つその不機嫌オーラは上手く隠せるのか甚だ疑問ではある。
が、リオンは笑いを含んだ声でそう言い、上機嫌な笑顔で軽く片手を挙げて見送った。
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