[雪は溶けゆく](1/24)
雪は溶けゆく

それから2ヶ月会社に行こうとアパートを
出て、駐車場に出た所で

「佐原 杏奈さんですか?」

とスーツ姿の40代くらいの男に
突然声を掛けられた。

「えどなたですか?」

あたしは不審に思い不用意には近付かず、
ある程度距離を保ったまま問う。

「斎藤 奏太をご存知ですよね。
少しお時間いただけませんか。」

あたしはその言葉に動揺し、
持っていた鞄を落とした。

「そんなにお時間取らせません。」

その男はあたしの鞄を拾い上げると、
背を向けてそのまま歩き出す。

「あ、返してっ!」

あたしは鞄を取られ、慌てて後を追う。

スマホも鞄の中だ
誰なんだ奏太が何で今更

少し歩いて通りに出ると高級外車が
停まっていて、それに乗るように言われた。

「手荒な真似は致しません。
安心してお乗り下さい。」

扉を開けて、その男はあたしの鞄を
車の中に入れる。

安心出来るわけ……

「人目につきます故、ちょっと失礼します。」

あたしが躊躇うと、男はあたしを抱き上げ
そのまま車に乗り込む。

「出せ。」

そして運転手にそう告げ、車は走り出す。

「ちょっと、どこへ連れてくつもり?
降ろしてよ!!何なの!!」

あたしは車内でそう言って暴れる。

「ちょっと静かにしてもらえませんか。
手荒な真似はしたくない。」

「ふざけんな!!今すぐ降ろせ!!」

右手を掴まれて、あたしは男を左手で引っ叩く。

奏太の惚れた女だけあるな。
お嬢さん、先に手を出したのは貴女ですよ。」

男はニヤリと嫌な笑みを浮かべ、
次の瞬間あたしは引き寄せられて
口付けられていて、抵抗するも
離れなくて思わず男の唇に噛み付いた。

「ッ!」

男は離れ、唇からは血が滲む。

「ぅあっ!!」

ゴンッ!!

という鈍い音と共に、あたしは
男に頭突きされ、目の前がチカチカする。

「ナメた真似しやがって

ずっと丁寧に話していたはずの
男の本性が見えた。怒りに満ちた顔で
あたしの胸ぐらを掴む。



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