[温かな雨](13/13)

それからあたしも準備をして出社する。
3ヶ月ぶりのオフィスに向かう時は、
少し緊張したし不安にもなった。

だけどオフィスのドアを開け、みんなが
あたしを見た時の顔を見たら解れた。

「佐原さん!」

笑顔と歓迎の顔。

「長い事休んでしまってすみません。
またよろしくお願いします。」

あたしがそう頭を下げると、

「待ってましたよ。よくぞ戻ってきて
くれました。またよろしくお願いします。」

と佐伯さんが立ち上がる。

「三島君は私について今日は回ってください。
君に担当を戻すご挨拶をしなくては。

佐原さんは、田原さんから引き継ぎを
よろしくお願いします。」

そう言って、佐伯さんが上着と鞄を持つと、
三島も同じ様にして、二人で出て行った。

「佐原さん、体調のことはあなたにしか
分からないから、無理はしないでね。
二人とも戻ってきてくれて嬉しいわ。」

田原先輩がそう言って嬉しそうにする。
他の社員さんも、温かい雰囲気で迎えてくれた。

「ありがとうございます。」

あたしは少し泣きそうになる。

「大変でしたね。話は聞きました。
辛い事を乗り越えて、ますます
佐原さん綺麗になられた気がします。」

そう言ってくれたのは、他部署から異動した
年齢は二個あたしより下だが、仕事上は
あたしより二年先輩の有森 沙穂(ありもり さほ)

短大出の有森さんと、四大出のあたし。
年下なのに先輩年上なのに後輩
結果お互い敬語で話している。
異動してきてから仲良くしてくれて、

「前から可愛いなって思ってたんです。
異動出来てラッキーです。」

と懐いてくれている。

「有森、それ分かる。
三島君もますます惚れ込んじゃうわね。」

田原先輩はそう言ってクスクス笑う。

他のみんなも優しく、しばらく雑談が弾む。
温かい雰囲気のおかげで、あたしは
体調を崩すことなく、その日から仕事が出来た。


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