僕が君を縛るワケ。
*傷ついて傷つけて(1/9)







次の日の朝、アラームを止めて携帯を開くと朝未からメールが来ていた。





【言っておきたいことがあるから今日一緒に行こ!駅前で待ってるね!】





なんだろう………?

言っておきたいことって。





【わかった!】と返信していつもより少し早めに支度をして家を出た。



駅前に行くと「奈知ー!」と大きく手を振ってわたしを呼ぶ朝未を見つけた。



朝未はなんだかわくわくしているような笑顔を見せていた。





「おはよ奈知!」

「おはよう!」





2人で歩き出す。

そしてすぐ朝未が口を開いた。





「あのね!あたし…──」





だけど、





「あれ?宇佐見に朝未ちゃん?」





背後から問われたあの声。

途端に鼓動が早くなった。





「幸人くんっ!」





朝未がわたしの横からいなくなった。

背後から話しかけてきたのは四織幸人。





「おはよう2人とも」

「おはよーっ!」





朝未はもう四織幸人にべったりだった。

わたしも一応挨拶を返す。





「お、おはよ」





四織幸人と目が合った。

にこ、と微笑まれた。





………やばい。

どきどきする………。



わたし、やっぱりまだ四織幸人のこと………?





「宇佐見は今日も図書委員の仕事があるの?」

「え、あ、うん!」

「ふは、なんでそんなに吃ってるんだよ。面白いなあやっぱり宇佐見は」

「な、なによそれーっ」





まだあれだけしか会話してないのにもうこんなに話せている。

なんでだろう。

ドキドキして仕方が無いけどすっごく嬉しい。





「ちょっとー?あたしの前で仲良くなるのやめてよねーもぉー」





朝未が四織幸人の腕をぐいっと引っ張る。

朝未は………。





「じゃあ俺職員室寄らなきゃいけないから先行くわ!じゃ!」

「あとでねーっ♪」





四織幸人は小走りで先に学校の門を通っていった。

それを見送る朝未……──と、わたし。



走り去る彼の背中を見ているときゅうっと胸が締め付けられる。





「奈知………あのね、」





お互いに目を合わせず、彼を見つめ続けていた。

朝未の言っておきたいこと、がわかったから。








「あたし幸人くんに告白する」








──やっぱり、ね。








- 41 -
   
bkm
/318 page


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

  ←戻る