夢屋

[あなたの夢を買います⇒1/4]





「あんの、クソ親父。」



私は、何もなくなった部屋の中央に鎮座する、机の上に乗せられた1枚の紙を読んで悪態をついた。


見た目的には大人しそうな私とよく言われるが、流石にそんなイメージをぶち壊したくなる。


何がお金が返金できなくなったからお父さんは旅に出るだ。巫山戯んな。高校二年生の私はどうなる。住む場所は。保護者は。何ひとつなくなって私はどう生きたらいい。


あんたがもともと博打好きで借金抱えていたのくらい知ってるよ。何年一緒にいたと思うの。


そんな莫大な金額の負債だけ残して消えるなんて酷い。しかも、娘が学校で居ない間に決行するなんて確信犯にも程が有る。最悪だ。なにもかもが暗転した。


これから学校の教育費はどうする。私の頭ならそれなり頭のいい公立大学にだっていけた。それなりの学力を修めて大企業に行って借金返済を手伝うことが夢だったのに。


なんで。なんでよ。


気がついたら親父のことで涙を流してる自分に気がついた。何もかも、暗転した世界が滲んで、頬に流れる温かい温もりが落ちていく。



これからどうする。


借金は莫大だ。公立高校に通っている為バイトだって親の承認が必要なのに、そんな肝心の親はいない。お母さんは親父の浪費癖に嫌気をさして、さっさと離婚届けを終わらせて出て行っていた。


そんなお母さんのところに行きたい気持ちは沢山あるが、親父の借金の取り立てがついてくる私なんて側にきっと置いときたくないだろう。


たぶん…。いや、明日にでもここのアパートの大家も目の前の扉を叩くだろう。何せ納金をここ数ヶ月納めていない。私達は運がよかった。大家さんはそこまで騒ぎ立てなかったのだ。滞納していたのに、お金が貯まった時でと言って許してくれたのだから。


でも、もう無理だ。







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