[1:『ぼくはここにいるよ?』](1/2)
君に会えて
ボクは変われました。
君に会えて
ボクは笑えました。
君に会えて
君に会えて。
ボクはたくさんの夢を見ました。
両手いっぱいの夢を。
抱えきれない程の夢を。
君はボクの
ひまわりでした。
☆ ☆ ☆
「はぁ……」
今日 何度目かの溜息。
最近、溜息をつく癖がついてしまった。
まだハタチ。
でも。
もう
ハタチ。
十年前は
もっと空が広く見えてたのに。
もっと高く見えてたのに。
今のボクに見えてる『空』は
四角く切り取られた小さな世界。
ボクの溜息は
四角く区切られたビルの世界の
『空』に消えてく。
☆ ☆ ☆
「ハルちゃん、もう上がっていいよ?お疲れさま〜」
店長に声を掛けられて、ボクはカットソーをたたんでいた手を止めた。
「お疲れ様でした!」
ぴょこん、と頭を下げてから、ボクはスタッフルームに入った。
ロッカーを開けながら、ふぅ、とまた溜息。
少し疲れちゃった。
忙しかった訳じゃなくて、なんというか…
気疲れ?
また店長に怒られんじゃないか?って、一日中ビクビクしてる。
極度の人見知り。
極度の上がり症。
加えて、かなり鈍臭い。
それでも、好きな洋服に囲まれてお仕事するのは楽しい。
楽しいけど。
店長に怒られてばかりだと、やっぱり落ち込んでしまう。
…向いてないのかな…
このお仕事。
今日もボクは。
独り
溜息をつく。
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