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揺れるポニーテールを追うリックとレティ。
「何事っすか!?」
「あっ!」
レティが声をあげたと同時に、カチャ……ゴンッ!痛々しい音がした。
運が悪いとしか言いようがない。クルーがいきなりドアを開け、それが逃げていた女の正面だった。想定外の事態に体も頭も着いていかず、思いっきりドアにぶつかった。
「いっ……ふあぁっ」
仰向けにひっくり帰り、倒れる頃には体が縮んでしまった。
「たーいへん!」
追い付いて、レティは膝を着いた。
目を回して伸びている体を掬い上げるように両手に乗せる。
「あっ」
「自業自得だな」
レティの手からリックが掠め取った。
背中の布をつかみ、ブラブラさせるようにして歩き出す。