リックは眉根を寄せた。気配を探ったが、この店の周りに他の仲間はいないと分かった。
多くを話したわけではないが、聞いた言葉から目の前の男達が何者であるかも、その目的も大方の予想がつく。ならば、これだけの人数であるはずがない。
残りの仲間が何処にいるかは、頭を捻らなくても分かることだった。
リックは顔だけを向けて、背後に問う。
「マスター、ここは任せられるな?」
「勿論だ」
ジョアンはニカッと歯を見せて大きく笑い、シャツの袖をまくった。
布がキツそうだった袖から出てきたのはプヨンプヨンの肉ではなく、二日前に店を荒らした海賊に劣らない筋肉質の腕だった。その両方の二の腕には刺青がある。
リックの口の端が上がった。
「やはりそうか。あんたも賊してたんだろう?」
「鋭いな、お客さん」
ガハハとジョアンが笑う。