そしてまた、キスをする。


::もし君が笑えと言うのなら(1/20)


 








「……あ」



翌日。
寝坊して開始時間ギリギリで教室に入った途端目に映ったのは、机に突っ伏して寝てる藤枝。

昨日の今日で顔合わせづらいな……



昨日の帰りはあんなのだったし、絶対変に思われてるよね……



「………」



一度藤枝をちらりと見て、無言のまま椅子に座る。

その途端藤枝が起き上がったので、一瞬驚いた。



「…今日来ねえのかと思った」

「え、っと…寝坊して」

「ふーん」



ああ、この素っ気なさはいつも通りだ。

わたしも普通にしなきゃ。



「由依ちゃん、おはよ!」



突然声を掛けられ何事かと思えば、前の方で未久ちゃんが手を振っていた。



「あ、おはよう!」



席を立ちこちらにやって来る彼女に手を振り返す。



「…藤枝くんも。おはよ」

「………どーも」



藤枝はにっこりと笑顔を向ける未久ちゃんを一瞬だけ見て、すぐに顔を背けてしまった。

せっかく挨拶してくれてるのに何をしてるんだ。



「ちょっと、未久ちゃんに失礼でしょ」

「うるせえよバーカ」

「なっ…その言葉、そっくりそのままあんたに返し──」

「ふふっ」



頬杖をついて窓の外を見る藤枝に文句を言ってやろうとした時、クスクスと小さな笑い声が聞こえて。

見上げると、未久ちゃんが笑っていた。



「ほんと仲が良いんだね、2人とも。見てて楽しい」

「た、楽しい…?」


 




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