そしてまた、キスをする。
:: 波乱の体育祭(1/19)
「みんな!今日も体育祭の練習だって!」
体育の時間の前の休み時間。
更衣室で体育着に着替えていると、後からやって来た係の女の子がそう言った。
「あー…もしかして今日が最後の練習?」
「そっかあ。もう明後日だもんね」
「やっぱりやるからには優勝したいね!」
「うん。頑張ろ!」
この学校は、毎年学校行事がすごく盛り上がるらしい。
その一年の中の最初のイベントが、この体育祭。
クラス対抗で競い合うのだけれど、学年別だから先輩に遠慮とかもしなくていい為か、みんなかなり張り切っている。
クラス全員で戦う団体種目以外でわたしが出るのは、障害物競走と二人三脚。
二人三脚は、もちろん亜子と一緒。
「うわ、由依と亜子、めちゃくちゃ速い!息ぴったりじゃん!」
練習でグラウンドを一周走ってくると、それを見ていた友達たちが拍手をしてくれた。
「へへっ…あたりまえ!」
「二人三脚はうちらに任せて!」
この体育祭での二人三脚はリレー形式。
チームで一番速かったわたしたちは、アンカーを任されている。
やるからには勝ちたいし…頑張らなきゃ。
「…あ、男子のリレーの練習始まった!」
1人の声に、全員の視線がトラックへ向いた。
「男子リレーはほぼ勝ったも同然だよね。みんな速いし、アンカーは堀江だし!」
「だね!楽しみだなあ」
「ライバルは2組くらいでしょ!」
堀江、というのはクラスの陸上部。
短距離をやってるらしく、かなり足が速いみたい。
2組にも同じような人がいるみたいだけど。
うん…リレーはやっぱり楽しみだよね。
「真中!」
「え、はい!」
先生に呼ばれ、振り返る。
「藤枝知らないか?」
「え…知らないですけど……いないんですか?」
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