MAGiC*
♯2 友達(1/10)
♯2 友達
依織と出会ったからと言って普段の生活が変わることはなかった。おれは相変わらず隠キャだ。
友達はいない。
いつもと同じ1週間を過ごして今週も部活に顔を出す。
普段は誰もいないはずのこの場所だったが、今週からは普段とは違う光景がそこにはある。
「あ!千川くん、やっほー」
「……依織、きたんだね」
福島 依織
人と関わることのないおれの日常で、唯一関わりのある存在。友達…とはまだまだ言える関係ではないが、この場所にいれば彼と会話をすることは逃れられない。
「千川くん!おれね、1週間考えたんだ!
この部活の目標!!」
「…目標?」
依織はそういうとカバンの中をごそごそとあさり1枚のチラシをおれに見せる。
「マジックコンクール!これに出ようよ!
コンクールにでればマジックを練習する目標にもなるし優勝目指せば楽しいと思うんだ!!」
「……………」
おれは頭をかく。
「あー…それ個人でも出場可能だから依織個人ででな…
おれは…遠慮するよ……」
"マジックコンクール"
コンクールという名前ではあるものの、いわゆる いろいろな団体が集まって行うマジックショー のことだ。
審査員が何人かいてそれぞれ採点を行う。そしてマジックに優劣をつける。
このコンクールで優勝する人は本当に素晴らしい才能の持ち主であるとされている。
…もちろんおれはこのコンクールの存在を知っている
…というよりも、知らないわけがない
おれはこのコンクールに、出場したことがあるんだから。
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