予告アプリ
『一家焼殺事件』(2/7)
【良樹side】
今日の目的地。
それは、3年前にあった一家焼殺事件のあった家だ。
今、都市伝説として有名な予告アプリ。
そのアプリを自分で手に入れる方法もあると最近噂されていた。
それが一家焼殺事件の一人娘の部屋にあると言われている携帯に自分の連絡先を登録するというものであった。
なぜ、この家なのか。
それは『3年前』と『一家焼殺事件』、『放火』のキーワードが当てはまったという、簡単で単純な理由だ。
あの噂がこの家だとは断言できるものではないが、夏ということもあって『予告アプリ』のワードと『肝試し』のワードを使って誘えば、女子が思いの外、食い付いた。
「ついたよ」
目的地に着き、家を見上げる。
その家は町のはずれにあり、周りには民家がほとんどないところにあった。
火をつけられたことにより、家は黒く焦げているが建物自体は通報が早かったため、損壊は激しくなかった。
だが、一家は助からなかった。
3年経った今でも微かににおいは残り、取り壊しはされていない。
「なんか…空気悪…」
理恵が言った様に、どこか、淀んだ空気が漂っていた。
「ほ、本当に入るの?」
「せっかく来たんだしな」
優希が扉に向かっていく。
玄関のドアノブに近付き、回すがガチャガチャと音が鳴るだけで開かないようだった。
どうやら、鍵が閉まってるよう。
優希は舌を打ち、扉に背を向けた。
「まだ、2時43分」
そんな優希に元弥はそういい、自分の左腕に付けたいた腕時計を指さした。
「あと1分か」
「ああ、あと、」
元弥がそういうと、中から、ガチャン、とカギが開けられる音が静かなこの場に響いた。
優希はその音に一度こちらを見る。
俺は頷けば、優希はドアノブを回した。
「……開いてる」
ゆっくりと開いていく扉に優希は少し後ずさった。
中を懐中電灯で照らす。
そこには案の定、誰もいなかった。
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