予告アプリ



広がっていく歪み(4/4)




【元弥side】

ピロロン。
携帯の通知音が鳴った。
テレビに向けていた意識を携帯に変えて、画面を開けば、サークルのグループで作ったメッセージアプリが更新されていた。
返答せずに次々と送られてくるメッセージをただ見つめる。

「なぁ、これ、返したほうがいい?」
「お前は返信しなくていい、代わりに返しとくから」
「ん」

優希がそう言い、吸っていた煙草を灰皿に押し付ける。



(良樹)ねぇ、予告アプリってみんな知ってる〜?

(由奈)知ってる!

(瞳)えっ…こわい話…?

(由奈)違うよ〜笑
予告アプリは都市伝説で有名な話!
瞳は怖がりさんだねえ♪
そのアプリは人生を左右する予告を3つしてくれる素晴らしいアプリなんだよ…!

(玲奈)私も知ってる


(由奈) 最近だと、確か…どっかの田舎の一家焼殺事件があった家の女の子の部屋にある携帯に自分の連作先を登録するとアプリが手に入るって噂もあるんだよ!
条件としては、夜中の2時44分。
その時間にその家に行くと閉まっているカギが開くんだって

(理恵)そうそう!ちょーほしいよね!
億万長者になりたいわー笑

(瞳)そうなんだぁ。
知らなかったなぁ…

(由奈)瞳はそういうの疎いもんね笑
でも、どこなんだろ〜!
ちょっと行ってみたい笑

(玲奈)由奈はそういうの好きだよねー?

(優希)ネットとかでも言ってる家って町のはずれにあった一家焼殺事件の家じゃね?

(玲奈)え…?そうなの?

(理恵)まじ?!

(由奈)ひぇ〜

(優希)そこも3年前にあったからね、火事。

(良樹)みたいだね。
あ、ちょっと見に行ってみる?笑
みんなで遊びに行ってないから肝試しついでに
予告アプリも手に入るかもだし笑

(玲奈)行きたい!

(由奈)絶対いくー!!
面白そうっ!!

(理恵)えーどーしよぉー

(優希)俺と元弥も行くわー。暇だし

(瞳)わ、私行こうかな…

(理恵)お?珍しいね?
みんな行くならあたしもいこうかなっ

(由奈)あいつ等も声かける?
このグループに招待してないけど笑

(理恵)まー、別にいいんじゃん?
空気悪くなるし

(玲奈)ホントそれよね

(良樹)はは笑
じゃあ、明後日はどう?

(優希)おけ

(由奈)はあい!

(理恵)おーけー!

(瞳)了解です…っ!

(良樹)じゃあ明後日の夜中2時30分、
集合場所は町外れにある神社の前ね!
目的の場所はそこから近いから!
よろしくー!







その後、要件だけは確認出来たし、もうみる必要はないだろうと携帯を閉じた。
最近はあいつから頻繁に連絡が入らなくなって鳴る事もなくなった。
多分、優希がなにかしたのだろう。
それだけはなんとなく分かった。

「優希」
「ん?」

優しく、俺をみる優希の視線。
優希は俺に優しい。
なんでってぐらいに。
俺じゃなくて、他の女とかにあげればいい優しさを俺にくれる。

「お前は、俺が死んだらどうすんだ」
「…それは、自殺?それとも他殺?」
「どっちでも」

そう言えば、優希は背凭れに預けていた身体を起こし、俺の方をまっすぐに見た。
その顔は何処か、怒ってるようにも見えた。

「自殺はさせるつもりねぇし、他殺なら…
俺はそいつを簡単には死なせねぇな」

にっこりと笑った優希。
……多分、俺は優希から離れることはないと思う。

「…そうか」
「うん」

それは愛情とかじゃなくて、ただの依存。




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