cafe Cendrillon
[気づき](1/6)
そしてあっという間に日は過ぎてオープンの日を迎える。
ハイヒールをかたどった可愛らしい看板を下げて店は開けられた。
近所にポスティングなんかもして初日は盛況で幕を開けた。
初めての事にぎこちなかったりテンパったりしたがすぐにオーナーがフォローしてくれてどうにか1日を過ごした。
バイトの子も今日のシフトの子もいてみんなでどうにか終わったね、と話しながら閉店作業をした。
バイトの子は先に返して俺とオーナーは経理の方があって残っている。
事務所で作業しながら
「今日はすみませんでした。オーナーに色々とフォローしてもらって…。」
と上手くいかなかったことを少し落ち込みつつ謝罪すると
「初日から完璧なんてありえないってわかってたし大きなミスもなく過ごせた事は良かったと思う。まぁ、勿論これから改善してもらう事はあるけど、慣れれば出来ること、と言うのもあるから。最後まで笑顔を忘れなかった事は素晴らしかったよ。」
と頭を撫でられた。
その手があまりに優しくて胸がジンとする。
大の大人が頭を撫でられてる、なんて本当はどうなのかって感じだけど水野さんの手はなんだか安心する。
この状態だったので上目がちになりつつ
「ありがとうございます。…これからもビシバシ指導してください。」
と言うと頭から手が離れその手は水野さんの口元を覆った。
少し視線を彷徨わせて
「…うん。こちらこそ、よろしく。」
と言われた。
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