shape of light
[上](2/6)



出会ったとき
ソウゴとミツキと話したことを思い出した。

とにかくライブがしたい

それから
サークル止まりでいたくない

俺はそれに相槌をうって、賛同した。


「思い出したわ……
「何急に、こわ」

場所はエンテン大学の体育館。
予選の真っ最中。

目の前で演奏するのは3年のバンドで、
フレデリックのオドループ。


「確かに、お前らの言う通りだ」
「だから何急に」

ソウゴのテンションがめちゃくちゃ低いのも頷ける。

「ここじゃ駄目だ」
「だろ!?」

声を荒げるから、何人か振り返った。
反射でペコペコ頭を下げた。


「エンテンは強いって言うけど、大したことないだろ」

ミツキに肩を叩かれる。

「とにかくライブがやりたい。
でもここだけにずっといても、あの程度で終わる」
「秋赤音……いやウインドブレイクとかストユニ見ちゃったからか何か物足りなくなってくるな」
「だろ?このレベルを目指すか秋赤音を目指すか、ってことだよ!」


身体の奥深くから燃やされるような感覚が恋しい。

目の前の音しか見えなくなる感覚
世界中のどこよりも熱いと錯覚する


「ワタル、やれるか?」
「んー、まあ、でも、今しかないよな」
「よし決定、目指せ秋赤音」
「でも赤ポンチョは無理」
「あれちょっと引いたよな」

ゲラゲラ笑っていたら先輩に注意された。

「そうと決まればまずは何する?」
「バンド名だろ」


エンテンとソウギョウの初ライブは、ストライクゾーンのまま登録している。
が、ストライクユニバースと被ったからにはこのままでいいわけない。


秋赤音を見たときから考えた。

「バーニングは?」
「ばーにんぐ?あー、burning
「何それ」
「ソウゴまじで頭悪いな、燃えてるってこと」
「へー」
burningだけじゃ変だろ、burningなんちゃらにしないと」

「バーニングサン」
「燃えてる太陽?」
「タイヨウはやめろ」

ミツキが手を叩く。

「適当に単語あげてくか、ボーイズ」
「ミュージック」
「ファイヤー」
「燃えてる炎とかそのままだろ」
「バーニングバーニング」
「キッズ」
「フォレスト」
「ユニバース」
「ブレイク」
「被せんなって」
「ワタルなんか言えよ」

一度も案を出さなかった。

burningが嫌なら変えるけど」
「いや、まぁ普通ではあるけど」
「サクッとディスられた」

うーん、と唸る。
案があるのだろう。


「何?言ってみろよ」
「エッジは?」
「エッジって何?」
「タイヨウも英語力ねえの?イーディージーイーだよ」

スマホで検索する。

edge……刃、鋭さ、激しさ……
「へー、強そう、それにしよ」

当然ソウゴも知らなかったらしい。

burning edgeか、いんじゃね」
「いやburning普通じゃん」
「気にすんなって」


ミツキが指を立てる。

「エンジェル」

「天使?え?天使?」
angel edge、言いやすくね?」
「なんかV系っぽくない」
「バーニングエッジよりはエンジェルエッジのが言いやすいしインパクトはあるな」
「多数決、賛成は手をあげろ」

4人とも手をあげた。


「はい、AngelEdge、決定」


もっと上を目指すと決めた。
新しいバンド名。


V系は目指してないからな」


- 32 -

前n[*][#]次n
/36 n

⇒しおり挿入


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

[←戻る]