狂愛メリーゴーランド
05.[泡沫の記憶](1/14)




ーー少し、昔話でもしようか。



両親の再婚、そして弥生くんと初めて会った時のことを。





彼と初めて会った時。


私は、王子様って本当にいたんだ、と。
思わずメルヘン脳になるくらい、見惚れてしまった。





「初めまして、日下部 弥生です」

「初めまして、……日下部、美月です」




その見た目、仕草、持っている雰囲気、醸し出すオーラ全てが。完璧。

完璧に、王子様だ。



自己紹介してから握手、ドキドキして手の平から死ぬかと思った。



この人が、今日から 私の お兄さん。
最強。信じられない。




「あらなーに?美月!弥生くんがかっこよすぎて見惚れてるの?
そうよねー、そうよねー、遊真くんも弥生くんも、ホントにかっこいいわよねー」

「もう、お母さんっ、からかわないで!」




あまりにもボーッと見惚れてしまっていたのか、お母さんが私をからかう。



でも、確かに。


これから私の兄になる二人は、はっきり言ってかっこいい。
一人でもかっこいいのに、二人並ぶと壮観だ。
……目の保養になる、というか。




「早い事見慣れといた方がいいわよー。これから毎日顔合わすんだから、毎回見惚れてちゃ目が疲れちゃうからね」




そう言ってにっこり笑うその顔は、生き生きとして楽しそう。



けど、お母さん。あなたの娘は、当分この兄達に慣れそうもありません……。



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