秀才くんと、放課後の教室で…
[はじめまして](1/2)


坂口と福沢はこのあと、1組の早瀬と水谷と打合せするから生徒会室な。じゃぁみんな、気を付けて帰れよ〜」

「起立。礼。」

『さようなら〜



うちの担任、通称『ゆきち 』先生は話し方がゆっくりで、その上長い。
ゆきち』先生の話が、子守唄に聞こえるのは、私だけ?

福沢幸人|33歳|独身
生徒達には『ゆきと 』じゃなくて、
『ゆきち 』って呼ばれてる。


さて、急がなくっちゃ。

少し乱雑に教科書類をカバンに押し込んで、クリアファイルにプリントを挟んだ。そして、机上におかれた筆箱を手に、自分の机から離れた。


「祐梨バイバイ〜頑張ってね」

「はいよ〜じゃぁね」


友達の里美と言葉を交わし、教室を出た。


現在、梅雨真っ只中の6月末。
この時期になると、テンションがいつも低くなってしまう。

ん?雨のせいかな
廊下は何故か水っぽく、上履きと擦れてキュッキュッと音を出す。


私のクラス32組の教室と、生徒会室は隣り合わせになっている。おかげで、移動には時間をかけずに済む。

ガラガラ
「失礼しま〜す」

誰もいない薄暗い生徒会室は、
一人ぼっちで寂しそうだった。

明かりをつける。
黒板の前にある大机に、
向かい合わせにして人数分の椅子を並べた。

そのまま椅子に座り、自分の好きな曲のリズムを足で刻みながら鼻歌を歌ってみんなを待った。

数分後、やっと『ゆきち 』先生と
3人が生徒会室に入ってきた。


「おまたせ〜」


この集まりは、今年は初めて。
1組と2組のの学級委員。
私以外の3人は、学年トップの優等生。
あまり居心地がいいものではない。

分かってることと言えば
私の成績は、下から数えた方が早いっていうことぐらい(泣)。


げっ!そうだった
1組の級長、早瀬潤斗くんって
学年一の秀才じゃん……

2人っきりで作業はきついな
真面目な人はちょっと苦手


はい次。お〜い坂口聞いてるか?お前だぞ〜次!」

「あっなんですっけ?」

「いやいや、自己紹介中だから

「あっすいません。坂口祐梨です」

「それだけか?(笑)」

「はい」


すかさず先生のツッコミが入る。

「さすが、祐梨だw 由香が笑った。












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