涙は心の中に、思いは瞳の中に。0-zero-
[二章](1/15)
この世界に入って、どれくらいだろうか。
気が狂いそうになる。
「…………」
至福の時間?
タバコを吸いながら一人でいるとき。
誰にも干渉されずに、過ごせる唯一の時間だ。
壁に寄りかかり煙を吐いた。
生憎、この組織でタバコを吸うのは俺だけだ。
「ん?」
顔を上に向けると誰かが覗き込んでる。
見えねえ。
灰皿にタバコを押し込むと、喫煙所を出た。
「…………和紗」
「やっぱここにいた」
「…………何だ」
「ごめんね、先生」
「…………何で謝る」
謝られるようなことされた覚えない。
「負傷してたでしょ。僕を逃がしたとき」
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