パレード
[異端児の集い](1/8)
メロディの家の玄関にはドアストッパーが噛まされており、オートロックがかかるのを阻止していた。

呼び鈴も鳴らさず、そのまま扉を引き入室する。

「おう、メロディ無事か」

ずかずかと奥の部屋に向かおうとする途中で、ソファーにハーフパンツとTシャツが置かれているのが目に入り、一時的に借りることにした。

さすがにこの格好でこれ以上うろつきたくはない。

「ミュージくん、来てくれたの? ……よかったー」

Tシャツに頭を通しながら聞く限りでは、怪我をしたとか、そういう感じではなさそうだ。

ほっと胸をなでおろし、先に行ったリンリンを追ってメロディの部屋へ足を踏み入れる。

窓が開け放たれ、ベランダの先に天体観測用の機材がセットされているのが見えた。

羨ましいことに、最上階のベランダは広めに設計されており、ちょっとした庭のようになっている。

気になったのは、嬉々として天体観測に挑んでいたはずのメロディが、ベランダから遠ざかるようにベッドの隅に座り込んでいたこと。しかもご丁寧に頭から布団を被っている。

リンリンが気遣うようにその隣に寄り添った。

「あれ? その服」

人のことを見るなり、メロディはきょとんとした顔をする。

「……コノ服がどーかしたか?」

とりあえずは誤魔化すことにした。

「ううん、別に大したことじゃないの、お兄ちゃんの着てる服に似てるなーと思っただけ」

「ん?兄ちゃん帰ってきてるのか」

「うん、お嫁さんとアダムちゃんを連れて里帰りだって」
今は寝ちゃってるけど……とメロディはうつむいた。

服の件は置いておくとして、やはり少し様子がおかしい。

「……なんかあったのか?」

なるべく優しく、静かな声で尋ねると、恐る恐るという感じで窓の外を見る。



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