パレード
[学舎](1/8)
PM12:15

俺がメロディに夢の話をしたのはその日の昼休み。
屋上で行われる、弁当持参のいつもの会合である。

「なんだー夢を見たのはミュージくんじゃないのかー」

「悪かったな、こちとら生まれてこのかた夢なんて見たこともないわ」

露骨にがっかりされたイラ立ちを、購買で買った焼きそばパンにぶつける。

大口でがぶりと噛み付くと、なんともいえず美味である。

校内放送で流れているのは
【おいしくごはんが食べられる曲】だ。
生きていれば一番多く耳にする曲かもしれない。

「しかも、肝心の夢の内容も聞けてないし、あんだけ思わせぶりに言ってたくせにー」

メロディが何やらブーたれているが、俺は今焼きそばパンを食べるのに忙しいのだ。無視だ無視。

「でも凄いですね、夢を見たなんて、とっても興味深い」

そこに助け舟を漕ぎ出したのは、メロディの女友達リンリンだ。

ぱっと見清楚そうな長身美人だが、メロディの良き理解者で、ちょっと狐に似ている。

「リンリンちゃんてば優しい!でも凄いのはミュージくんじゃなくてミュージくんのお父さんだよね」

「ええ、まぁ、そうかな」

……助け船かと思いきや、とんでもない泥舟だ。



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