月と空
[再会。](1/11)

あれから数週間。
相変わらずぽけーっとした毎日。


「そーらーさーん!」

誰かが後ろからくる。
来るのはあいつしかいない。

ぎゅ。

抱きつかれる。

ドス。

エルボをかますわたし。

「き、き、きょうも相変わらずすごいエルボっすね。」

脇腹を押さえてついてくる彼。

「そりゃどーも。」

不機嫌な私。

「そして相変わらず美しく可愛い空さん!」

「あのさぁー。毎日毎日飽きないのか?順平。」

彼は佐久間 順平【サクマ ジュンペイ】

「まったくもって!」

背も高くてすらっとして今時の大学生。サークルの後輩で、見た目かっこいいけどどっか抜けてて
なんとも残念な、見た目2枚目、
中身は3枚目な感じ。
いつも私の周りをウロチョロしてる。

「空さん今日はサークル行かないんすか?」

「いかないよ。」

素っ気ない私。

「ええ。いきましょー!俺、行こうと思ってたんすよ!」

「ご勝手にー。」

スタスタ歩く私の腕にへばり付く順平。

「俺、空さんがいるからサークルに入ったんすよ!空さんがいないサークルなんて、風呂にアヒルが浮かんで無いのと一緒なんすよ!それだけ重要なんす!」


「またバカなこと言って空を困らせてんの?しかも、アヒルさんは一家に一羽じゃないし、そんな重要じゃないし。」

ラケットを順平の頭にコツっとぶつける女性。

「いだ。痛いじゃないっすか。はるかさん!」

順平の痛がる顔を見て笑っている。
彼女は私の親友、
長谷 晴香【ナガタニ ハルカ】
サバサバしていて可愛くて、
男女共に大人気。自慢の親友である。

「でも、まぁ最近サボってばっかりのそらちゃんには出てもらいたいけどねー。」

目を細めて見るはるかしゃん。
彼女には楯突くことはできやせん。


「さ、参加させていただきます。」
頭を下げる。

「よろしい!」

ラケットを肩に担いでいる。
恐ろしい。

「え!空さんきてくれるんすか!
じゃあ、俺のラケット貸します。
交換交換で使いましょ!」

満面の笑みの順平がそこにいた。

「はいはい。」


順平をかるくかわして
そしてコートに向かう私たち。




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