花筏 〜はないかだ〜
[14章 …嫌い。](1/3)
明け方まで激しく降り続いた雨が嘘のように…見上げた空は青く澄み渡っている。
結局、ほとんど眠ることができないまま朝を迎えた私は、ぼんやりとした頭で玄二さんのお店の前を掃除している…ような…いないような…。
「何、ぼさっとつったってやがる。」
コツンと頭を弾かれて我に帰る。
「…土方…さん…。」
「お前…箒持ってそんなとこに立ってると、営業妨害だぞ。」
呆れ顔の土方さんが私の手を引いて、店の前のベンチに腰掛ける。
「まだ熱でもあるんじゃねぇのか?」
土方さんの冷たい手のひらが私の額にそっと添えられる。
熱はねぇな…そんなことを呟いている土方さんと目が合った。
「本当に大丈夫か?」
黙りこくっている私に土方さんの顔色が曇る。
改めて至近距離で見る土方さんの顔は、惚れ惚れするほどに綺麗だ。
こんなイケメンに心配されている私は、きっと世間的には幸せ者なんだと思う。
でも…。
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