花筏 〜はないかだ〜
[2章 満たされない心](1/3)



僕の人生何だったのかな。


こんなところで誰の役にもたてないで終わるなんてさ。


僕は薄暗い部屋の天井をぼんやりと見つめる。


あぁもうすぐだ。


もうすぐ、僕は死ぬ。


そんな気がする。


呼吸をするたびに…11秒と苦しさがましていく。


「ねぇあなたは死神?」


部屋の隅に微かに


でも、確実に感じる何かの気配に、僕は問いかける。


「やはり、気づかれていましたか。」


その何かは、静かにと言うよりも、音もなくと言う表現が似合うゆったりとした動きで、僕の視界に現れた。


「なんだ。もっとおどろおどろしい姿なのかと思ったのに意外と普通なんですね?」


僕の言葉に、その何か優しげな笑みを浮かべた老人がクスリと笑った。


「ご期待に添えず申し訳ありません。まぁこれは、仮の姿ですがね。」


「仮の姿か。まぁ、いいや。」


どんな姿をしていたって


いや、姿形がなくたって


この人は僕の魂を、どこかに運んでいくんだろう。








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