昔、母さんに言われた。
『あなたは、私と同じ生き方をすると思うわ』
小学生の俺には、母さんが言っている意味が理解でくなくて、首を傾げてた。
『あなたは私によく似てしまったから。でもね……』
と母さんは続けた。
『もし、あなたが満足出来る行き方をするなら、私はどんな将来を歩んでも良いと思うの』
真剣だった表情は、優しい笑顔になる。
俺は母さんに撫でて貰っていて、それがとても暖かくて嬉しかったのを覚えている。
『だからね……──』
次に母さんが言った言葉は良く覚えている。とても、印象的だったから。
母さんは渡り鳥みたいな人だから、昔の俺には分からなくても、今なら母さんの生き方の意味も気持ちも分かる。
だから、母さんが最後に言った言葉は絶対に忘れないように、心の中に刻みつけている。