素直になれやしない
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きっかけは、なんだったのか。
気がつけば周りは俺から遠ざかっていた。
上履きを隠されるのは日常茶飯事。
毎日のように浴びせられる暴言に感覚が
麻痺していくようだった。
まさか自分がいじめのターゲットに
なるなんて。
「よぉ。野中」
「……はよ…ございま…す」
挨拶をしただけでクラスメイトの視線を
一気に集めた。
俺、というよりは話しかけてきた彼に
向けられたものだろうけど。
なるべく注目を浴びたくなくてボソボソと
小さな声量で話す。
が、性格がひん曲がっている彼は周りに
聞こえるくらいわざと大きな声で喋る。
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