「なに、悪いことは言わねぇ。とにかく、あの城には近づくな。」




村人が指差したのは、雪景色の先にそびえる…氷に囲まれた大きなお城。

そこには雪の女王が住んでいて、人間を拉致しては奴隷にするなど、ひどい扱いを受けているらしい。

その城から帰ってきた人もいるそうだが、どうやら記憶を無くしているようだ。





「拉致されるちょっと前から、ここにもどってくるまでの間の記憶がないらしい。」

「じゃあ、なぜ奴隷にされていると？」

「ある女が、拉致され数日後戻ってきた。女は埃まみれになっていて…手にはハタキが握られていたんだ。」

「別の男は、木の薪と鉈を持っていたよ！きっと薪割り機にさせられてたんだ！」

「野菜と鍋を持ってる人もいたよ！なんか作る途中だったのかな？」



(奴隷というより、家政婦扱いね…)





なんだか、村人の言っていることが信じられなくて…

いや、嘘をついているようには見えないんだけど…なんというか…。

とにかく、私は自分の目で見ないと信じられないし、村人の言いつけをやぶって、氷の城に足を向けた。

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❥栞

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