inメルヘン
アリとキリギリス(1/8)
「わたくしも、本当は…皆様の様に…楽しい学園生活を満喫したかったですわ。
正直…嫌なんです。大好きな友達や…彼と離れることが。」
次の世界で出会った少女は言った。
アリと名乗る少女は、蟻族の名誉ある跡継ぎで、代々選ばれる『女王蟻』に任命されたらしい。
16歳になると複数の婿取りをしなくてはならないのだとか。
「最後に、お姉様に本音を話すことができて、スッキリしましたわ。」
「とんでもない。こちらこそ、倒れてる私を助けてくれてありがとう。」
私は今、学校にいる。
レトロな雰囲気の木造だ。
だけど、私の世界ではないみたいだ。
イメージとしては近い世界に来たみたいだけど…少し残念。
今、保健室のベッドを借りている。保健医はタイミングよく留守の様だ。
私を介抱してくれたアリは、この学校の生徒だという。
「明日、わたくしは…16歳の誕生日を迎えます。学校を去り、パートナーを探さねばなりません。」
「彼氏がいるなら、その人とパートナーになればいいんじゃない?」
「ダメなのです…。彼は…蟻族ではありません。認められないのです。」
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