「あの!」
無人のホームから出ようとする恵助を呼び止めた。
「んー?なんだ?」
「あの…えっと…わ、わたし…の話、聞いてくれない…?」
目が合わせられない。
恵助みたいに清んだ目に見つめられると
自分の汚れを浮き彫りにするようで。
足下だけをみていた。
地面が徐々に滲んでく。
恵助はホームのベンチに座り「お前も」と言って隣を叩く。
私はコクンと頷き、腰を下ろした。
そして、
つまりながらだけど、
目は震える手元ばかりみてたけど、
ズボンの太もも部分の色が変わってしまったけど、
全部を話終えることができた。
恵助はただ「うん、うん」と相づちを、うっていた。