忘れ者
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・∇其の苦(1/14)
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「お邪魔しまぁす!」
「声大きい。」
「すいません…」
給料が少し上がって貯金も余裕が出てきたからそこそこのアパートに引っ越した。
家賃は高くないし内装も中の上くらい。
1Kのアパート。
男性はおろか瞳さえ入ったことがない。
「部屋、もっとピンクとかあるんかと思った」
恵助が私が出した紅茶を飲みながら言った。
確かにモノトーンでまとめられたシックな部屋にピンクなんて無い。
「ピンクは嫌いじゃないけど誰か遊びに来たときに落ち着ける空間がいいなぁって。まだ恵助君しか来てないけどね。」
私がそう言うと恵助は驚いた顔をした。
「瞳も来たことないんだ?アイツ、来たがってたぜ?」
「いつでも来ていいとは言ってるんだけど学生は忙しいからなかなか合わなくて。」
恵助は「そりゃそっか」と言ってテーブルとソファーとベットしかない部屋を見渡した。
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