青を抱いて頂戴
[青を抱いて頂戴](38/38)

寂しげにわらう彼女は そのことを

過去として受け止めているから
いまこうして俺に言ってくれている。


分かっていても、言葉を失うくらい
そのことばは 周りを制する圧があった。




「高3の冬頃、

いちばん精神的に参ってたとき。


受験なんかで一生を決める
この世界で生きていくことに疲れて

バラバラになりかけた家族に
これ以上負担かけたくなくて。



哀しいよ、死ぬまでの過程の時間って。

どうやって死ぬか考えてさ、
ひとつひとつ、選択肢を消すの。

ずっと生きてきた家の中見て
コード探して、遺書っているのかな、なんて。



でも、勇気が無かった。
この世とお別れする勇気。
今はなくてよかったと思ってる。

北斗がやさしい言葉をかけてくれたのは
その次の日だよ。

ボロボロになったわたしを助けてくれた。 」




「 だから、北斗は誰かの光になって。


身近なひとじゃなくて

もっと沢山のひとの光になって。


北斗が 届けって祈る言葉は、強いよ 」




歩いてたどり着いたのは

ボロボロになった彼女に

届けと強く願いながら言葉をかけ続けた公園。



真奈美はわらう。幸せそうに。

今がとても 幸せであることを
示してくれて いるように。


「 ね、お願い。 」





言葉でひとを抱きしめるひとになってね。









その言葉が 今度は俺を救ったことを


素直に真奈美に告げるのは
いつになるのだろう。


そんなことを俺は 満月の下で
泣き笑いの顔で考えていた。







青を抱いて頂戴




Fin.



→あとがき.




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