青を抱いて頂戴

[ミラージュと青](2/40)

「てるちゃんは、いいね。」

その言葉を今まで何人に
何度かけられてきたのだろう。

少しだけ嬉しくて
少しだけ哀しくて
___________否、やはり
あたしのことを静かに満たす言葉だ。

容姿も、成績も、運動神経も
「そこそこ」良かった。

自分のことはちゃんと分かっていた。

そうやって自分で言う
「そこそこ」のレベルが
他人から見れば相当のものにあたることも。

少女漫画に出てくるような
無自覚の可愛い子なんかになれるわけもなく
ただ神様に与えられたその容姿が
どうか事態を好転させるように

今までずっと、生きてきた。

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