[05,裏切り者の罠にはまって](1/12)
9月。
長いような短いような夏休みが終わり、再び学校中心の生活がスタートした。
私よりも2日程早く学校が始まったケイとは、最終日にかなり熱い夜を過ごし、これから会えなくなるであろう期間の充電をたっぷりとした。
一応ここで確認しておくが、私とケイはカップルではない。
けど、夏祭りの夜に自覚したケイへの想いは、確かに私の中に芽生えていた。
夏祭りの夜、いわゆる“嫉妬”した私は、痛む足で一人その場を離れ、ケイを困らせることで仕返しをしたつもりだった。
なのに。
慌てた様子で追いかけてきたケイが、ぐちぐちと私に説教を唱えたのは始めだけで。
私が怒っている理由が嫉妬だったことを知ると、なぜか大喜びして、相思相愛だねなんてとびきりの笑顔を見せた。
まあ、だからといってそこから恋人へと形を変えたわけではなく、関係はあのままの状態が続いているのだけど。
そんなこんなで再開した学校生活だったから、朝から不思議な感覚しかなかった。
ちょうど夏休み中の出来事だったこともあり、何だか夢みたいにすら思えて。
現実を見たケイが、もしかしたら私を必要としなくなるんじゃないかと、そんな考えも浮かんだ。
仕方なく構ってあげてると思ってたし、ケイの方から私を離れていくことはないと思ってたから。
一気に気持ちは沈んでしまった。
ケイに会いたい、と強く思った。
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